税理士への「丸投げ」の危険性はご存知ですか?

税務調査対策

創業時や会社が小さい時、経理の知識を持っている従業員がいない時など税理士に丸投げをして記帳を依頼しているケースは多くあります。

ただ、税理士だから記帳はしっかりやってもらっていると思ってても、実際にはしっかりできていないケースがあります。

税務調査で指摘されるまで、経営者の方は何も知らなかったというようなことは少なくありません。元の勤務先で税務調査の担当者として、多くの代表者さんからそのような話を伺ってきました。その後、顧問契約解除して他の税理士さんにお願いしたということもいくつもありました。

特に、決算書の見方がわからない経営者の方は、税理士に丸投げしてしまうことが多いです。そして、申告の際「今年の税金は◯○◯円です。」と言われ、「わかりました。」と答え、何の疑問も持たずに納税をした結果、上記のような結果につながることがあります。

顧問税理士さんでも経営者の方にしっかりと指導されている場合には、そのようなことにはなりません。しかし、指導をろくにせず、決算や申告を勝手に進めてしまう税理士も少なからずいます。

丸投げしても、疑問をもって決算書をみれば、質問などもでき、税理士よりしっかり指導してもらえます。決算書の見方がわからないからと、全く見ないで、スルーしてしまうと、質問する機会もなくなります。そうすると、税理士とのコミュニケーションが希薄になり、悪い方向に進んでしまうケースが出てきます。

これを放置すると、単なる税務上の問題だけでなく、経営への危険にも及ぶことも少なくありません。そうならないためにも、税理士とのコミュニケーションを円滑にする必要があります。

では、現在の税理士とのコミュニケーションが円滑にとれているか見極める方法はあるのでしょうか?

顧問税理士とコミュニケーションが取れているか判断する方法

決算書の見方が分からなくても、構いません。

法人税の申告書の添付書類である「勘定科目の内訳書」を御覧ください。

その中で、確認すべき項目は次の点を確認してください。

預貯金等の内訳書

この預貯金等の内訳書欄の中に「現金」と記載があれば、帳簿上の現金残高となります。会社で管理している実際の現金残高と一致しているか確認してください。

「現金」の記載がない場合には、「貸借対照表の『現金及び預金』の金額+貸借対照表の投資その他の資産の『長期性預金」などー「預貯金等の内訳書」の合計額」が現金残高になります。これが帳簿上の現金残高となります。先程と同様に会社で管理している実際の現金残高と一致しているか確認してください。

ここでは、経営者の方の感覚として、大きなズレがなければ、問題がありません。ただ、決算後に支払いをするために預金から多額の出金等しているケースもありますので、それを加味して判断してください。

帳簿上の現金残高と実際の現金残高が大きい場合には、経費のつけモレ等や経営者などの個人的経費を自己否認した結果である可能性があります。本来であれば、経費のつけモレ等や経営者などの個人的経費の自己否認については、コミュニケーションを図り指導していくべきですが、実際にそうでない場合もあります。

この原因は、税理士の怠慢とは限らず、経営者の方に指導しても治らないため仕方なくしているケースもあります。

ただ、金額が大きくなると税務調査があれば、代表者に対する役員賞与等と認定され、源泉所得税がかかることも少なくありません。顧問税理士に指導された記憶がない場合には、帳簿上の現金残高が大きい原因は何かと顧問税理士に確認してみてください。明確な回答がない場合には、コミュニケーションが取れているとはいい難いので、今後の対応を検討することをお勧めします。

代表者勘定の確認

勘定科目の内訳書の中の「貸付金」「仮払金」などの項目の中に代表者名が記載された身に覚えのない金額がないか確認してください。

現金残高が多額の場合、税務調査で指摘を受ける可能性があるため、代表者貸付金や仮払金などの勘定科目で処理することもよくあります。しかし、本来は代表者貸付金は取締役会の議事録の作成や返済計画を明示した金銭消費貸借契約書の締結等の必要があります。

実際にそれらがない場合には、否認されないとも限りませんので注意が必要です。仮払金も適宜精算していないと、否認されないとも限りませんので注意が必要です。いずれにしても代表者の方が認識のない代表者貸付金や仮払金は、認定賞与にならないように税理士さんが良かれと思ってやった処理の可能性が高いです。

本来であれば、経費のつけモレ等や経営者などの個人的経費について適宜指導することが税理士として必要です。指導しても治らない場合には、逆に顧問契約の継続をしないようにする税理士さんもいます。

以上のように、2つの点を見るだけで簡単に顧問税理士とコミュニケーションが取れているか確認できます。

これが全てではありませんが、決算書を読めない経営者の方にはまず確認してほしい点です。

なお、顧問税理士とのコミュニケーション不足は、顧問契約の内容等の相互の認識の不一致からくるものもあります。また、顧問税理士が悪いケースもありますが、経営者が悪いケースもあります。

上記の方法で、コミュニケーション不足が確認されたら、顧問税理士とコミュニケーションを取り直すことから初めてはいかがでしょうか?

その上で、コミュニケーションがうまくいかないようであれば、他の税理士を検討することも考える必要があります。

他の税理士を検討される際には、弊所もご検討いただければ幸いです。

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なお、この投稿は、投稿日現在の情報です。投稿者の私見が含まれており、情報の誤りがある可能性もあります。また、個々の状況により、適切妥当な判断が異なる場合もあります。したがって、本投稿に基づき、発生した損害等は一切応じられません。顧問税理士がおられる場合には、相談していただくことをお勧めいたします。

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