電話相談などでよくある事例について、解説しています。
【事例】
ある団体から仕事の対価として毎月30万円以上のお金をもらうようになりました。
もらったお金を私は確定申告する必要があるのでしょうか?
【回答】
仕事の対価としてもらっているようなので、その点に絞って、回答します。
通常、仕事の対価として貰う場合、給料か、外注かのどちらかのパターンが多いと思います。お礼の場合などもありますが、その場合は外注の場合でとりあえず考えてください。
給料の場合であれば雇用契約書、外注の場合であれば請負契約書などの契約をを交わしているのが理想です。雇用契約書は本来雇用契約を締結した際に、法律上書面で交付することになっています。また、請負契約書も継続的に契約する場合、トラブル防止のため基本契約書を交わすことが多いです。
ただ実際には、今回のように契約書を交わしていないで、契約内容をよく分かっていないケースは残念ながら少なくありません。
では、契約書がなかった場合には、どうすればよいのでしょうか。
まず、相談者がもらっているお金は、給料に該当するのか?それもと、雑所得や事業所得に該当するのかを確認する必要があります。給料明細や支払明細に源泉所得税が控除されているかを確認してください。
支払金額が少なければ、源泉所得税がかからないこともありますが、通常月30万円以上もらっていれば、源泉所得税がかかってくるのが普通です。しかし、支払い者がそのことを知らないで源泉所得税を引かずに支払っているケースもあります。また、源泉所得税が引かれていても、給料ではなく報酬の場合もあります。したがってまず第一に「給料なのか、それ以外なのか」を支払い者に確認されることをお勧めしました。
次に、「給料ではない」場合には、支払い者が10月から始まる消費税のインボイス制度に該当する課税事業者であるかどうか確認する必要があります。課税事業者であった場合には、相談者もインボイス(適格請求書)を提出する必要があるかを確認する必要があります。この点もお勧めしました。
以上を確認するよう相談者にはお伝えしました。
給料の場合、本来は源泉徴収され、年末調整され、確定申告が不要のケースが通常です。ただし、今回の相談者のように源泉所得税を引かれずに全額もらっているケースの場合は、本当に給料なのかも不明の場合もあります。
給料であることがはっきりしていて、源泉所得税が引かれていない場合には給与所得で確定申告されることをお勧めします。
給料でない場合または給料か不明の場合には、通常雑所得か事業所得での所得税の確定申告をする必要があります。事業所得の場合には、開業届や青色申告承認申請書を各提出期限までに提出する必要があります。
お礼であるとはっきりしている場合には、雑所得で所得税の確定申告をする必要があります。その場合には消費税の確定申告は必要ありません。今回の相談のように毎月支払いがあるケースの場合、お礼を支払うことはあまりないと考えられます。
さらに、支払い者が課税事業者の場合、支払者の処理方法によって異なりますが、課税事業者になる必要があることもありえます。その際には、確定申告時ではなく、令和5年9月30日までに適格請求書発行事業者の届け出が必要になりますので、注意が必要です。
最後に、税務調査では、給与か外注費かどちらかによって消費税や源泉所得税に影響してくるため、大きなチェックポイントになってきました。通達では、過去の判例を基にいくつかの判断基準をあげ、総合勘案することとされています。しかし、適用にあたっては、抽象的すぎて納税者側と調査側とで意見が対立することが、比較的多いところでもあります。具体的かつ明確な判断要素がないと、結論がつきにくいところがありました。インボイス制度が普及すると、課税事業者が増えるため、その分不明確な事業者は減ると見込まれます。
なお、この投稿は、投稿日現在の情報です。投稿者の私見が含まれており、情報の誤りがある可能性もあります。また、個々の状況により、適切妥当な判断が異なる場合もあります。したがって、本投稿に基づき、発生した損害等は一切応じられません。顧問税理士がおられる場合には、相談していただくことをお勧めいたします。
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