はじめに
滞納してしまった場合、
・税務署に対してどのように対処すれば、良いのでしょうか?
・節税する方法はないでしょうか?
と考えられている方のために
国税徴収官の経験のある国税OBが
・少しでも不利にならない方法と
・少しでも有利になる方法
を解説します。
滞納してしまった場合の基本的な流れを知っておきましょう。
滞納してしまった場合には、税務署から「督促状」がきます。 この「督促状」が届いてから10日後に税務署は滞納処分を行うことができます。
滞納処分とは、差し押さえや捜索などの強制的権限をもつ行政行為です。これは、裁判所の令状がなくできる非常に強い権限があります。例えば、得意先の売掛金を差し押さえられるなど、その後の経営活動に大きな支障が発生する場合があります。
税務署は何もしないからと放置していると、差し押さえなどがいつ行われるかわかりません。行われた場合には、基本的に納税が済むまでは差し押さえを解除してくれません。
1. 税務署の徴収部門に納税相談をする
したがって、督促状がきたら、まず、差し押さえなどの不利な状況にならないように税務署の徴収部門に納税の相談を行くことをお勧めします。
納税相談をする場合には、できれば事前に電話連絡をして何を用意していったら良いのかを聞いておくと、その後の処理がスムーズになります。
納税相談をすると、資金繰りによって分納の相談に応じてくれます。
2.早急な納税を検討する
なお、資金的に余裕があるにもかかわらず納税するのを忘れてしまった場合、何らかの方法で資金調達できる場合などは早急に納税することをお勧めします。
滞納すると延滞税が課税されます。延滞税は最大年「14.6%」がかかります。金額や機関によって変わりますが、延滞税1,000円未満であれば、免除されます。したがって、早めに納税することによって、延滞税を納税しなくて良くなるケースもあります。
3.融資を検討する
また、延滞税は法人税の損金には計上できません。金融機関からの融資を受けることが可能であれば、融資を受けた場合の支払利息を法人税の損金に計上できます。
金利差だけでなく経費性からの観点からも、銀行融資の検討をすることをお勧めします。
銀行融資を検討する場合には、納税相談の際、その旨を伝え、待ってもらうよう依頼することで、差し押さえなどの手続きを保留してもらうことができます。
4.分納相談時の留意点
銀行融資が受けられない場合には、通常、分納相談を行うことになります。分納期間が長くなると担保提供を求められることが通常です。
したがって、可能な限り短い分納期間を設定し、担保提供をしないようにすることも検討しておく必要があります。
担保提供の種類によっては、結果的に差し押さえによるものもあります。 最長1年が分納期間です。結果的に最長1年を超えても、資金繰りを考慮して、延長することは対応可能です。
ただし、分納期間中においては、新規の滞納を発生させないよう期限内申告や期限内納税を指導されます。これは、期限後申告すると無申告加算税が課されたり、期限内納税をしないと源泉所得税の不納付加算税が課されたりするため、更に税金の負担が増えることを避けるためです。
徴収部門の担当者は、滞納が少しでも早く減少させるために、納税相談に応じてくれます。しかし、滞納が増えるようであれば、差し押さえなどの滞納処分を実施する可能性も高くなってきます。
5.未納の源泉所得税の納税を優先する
滞納をされている場合、源泉所得税の未納という状況も比較的多くあります。源泉所得税の未納とは、滞納になっていないけれど、納付期限までに納税が未だされていない状態です。 この場合、未納の源泉所得税の納税を優先したい旨を併せて相談しましょう。
というのも、源泉所得税は預り金的性格を持つため、納付期限を1日でも遅れると原則不納付加算税を課されます。ただ税務署の通知が来ると本税の10%の不納付加算税が課されますが、税務署の通知が来る前に納税すると5%の不納付加算税が課され、5%軽減され節税になります。
源泉所得税の納期の特例を受けている場合、6ヶ月分で一緒に納税する必要がありますが、納税できる月分だけでも自主納付するとその分の加算税が軽減できます。その場合には、税務署に納付方法を相談することをお勧めします。
それでも、対応できない場合には、税務署の通知してもらい、他の滞納分と併せて分納相談をします。
6.高利の消費者金融等の利用の注意点
消費者金融などを利用すると金利は複利です。延滞税は単利です。短期的な資金繰り困難な場合消費者金融は利用することは有効な場合もあることはあるかもしれません。
しかし長期的に利用すると負担は大きく変わってきますので、分納するために消費者金融を利用するなら、その前に一度徴収部門に分納額の変更ができないかを相談することをお勧めします。
高利な消費者金融等を利用した場合、資金繰りは短期的に対応できても、長期的にはより困難になってくることが多いです。
そのため、そのような高利を使用していると税務署は最悪のことを考え、担保の提供を求めるなど通常より厳しい対応を取ってくるケースもありますので、注意してください。
まとめ
以上、滞納になった場合の対処法と節税法を解説しました。
繰り返しになりますが、滞納になってしまった場合には、①税務署の徴収部門に早めに相談することと②相談した結果を誠実に履行することをお勧めします。
滞納額が大きくなってくると、担当者の変更や税務署ではなく国税局の管轄の変更になるなどより厳しい滞納処分を検討されることになります。このような厳しい滞納処分を受けないようにしましょう。
最後に
このような資金繰りが困難にならないよう、比較的資金に余裕があるときに、予め融資を受け、運転資金や設備資金を準備していくことをお勧めします。
さいたま市のこだま税理士事務所では、創業融資などの融資相談に対応しております。 初回相談無料ですので、気軽に「お問い合わせ」までご相談ください。
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